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2016年12月1日更新(67号)

木洩れ日の    二見 久江

石舞台、山の辺の道、木守柿、絵筆持たしゴッホのごとく
「ご無沙汰ね」齢重ねて同窓会幼き頃の面影探す
初恋の君と眺めた壇ノ浦 平家無情・盛衰のあと
雷雨去り自然の命よみがえるみどりの風吹く木洩れ日の道
狭山池駆足かるく子等の声桜の芽吹き 春遠からじ
ひばり鳴き光差し込む窓辺より春の気配に心を放つ
なだれ咲く土手一面の水仙を車窓に眺め幾年を経し
面影が齢重ねて母に似る「顔施(がんせ)忘るな」母のくちぐせ
蟬しぐれ木洩れ日揺れる道に立つ流れゆく風ふるさと匂う
飛行機雲二上山(ふたがみやま)と交差する悲運の皇子の眠れる空に

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