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2006年9月1日更新(26号)

六月某日    月山 幽子

一チャンネル卑しき日本語?吐きながら死の商人の顔する女
扇風機まわれよとまれその違ひ神降臨の火口に捨つる
身よりは皮の旨い焼き魚を奪ひあひする家族戦争
病巣のあとかたもなき肺葉と蝶の影絵を探すしにがみ
なでたれば皮に電流発生し爪のマニキュアかろがろ乾く
劇場のあとかたもなき草原に殺められにし武士の快楽(けらく)
鳥の眼が背にはりつける幻日に谷間にあふるる空木(うつき)の白は
息あつく神密ささやくひるがほの可憐きはまるこばみにあへり
ひるがほに長きホースの射精あり無力にされる破壊てふもの
狂ふべく鳥をたたけば佛壇のこげる臭す燈明荒れて
美学など死語化する日の近からむ己の一部食めるゆふつひ
真珠貝のふれあふ響きなまなましまどろみのなか安らぎのなく

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