目次

2017年6月1日更新(69号)

たのしく編み物    中尾 環

短歌(うた)づくり締め切り近付き悶々と日がな苦しみようようポストへ
風邪癒えて久々のプール仲間らとワイワイ過ごすこれぞ日常
トランプの政策予想に悲喜交交キングが出るかジョーカー出るか
トランプのまさか・そんなの外交に世界は揺らぎ無理に擦り寄る
NHK日曜早朝(あさ)短歌(うた)講座嗚呼の数だけメモの増えたり
七草の名前すべては言えねども冷蔵庫掃除〝七草粥〟せる
木枯らしの夜友達に書く手紙苦労の末の笑顔想いつ
一本の毛糸(いと)が形に変わりゆく手編みの魔術よまた夜なべする
新年の恒例ウィーン・フィルワルツ聴きつつ編み針持つ手も揺れる
厳寒を手編みのニットで遣り過ごす首・足温め省エネの日々
Ihave a毛糸 Ihave 編み針アーッ ‼ オンリーワンのセーター出来た
(ぬく)き部屋デザイン練りて編むセーター外はガタピシ春一番荒れ
手に編針耳にポップス頭では短歌巡らす五感全開 ‼
ドラマでは辛きヒロイン抱き締めて「ボクが守るよ!」 我には居らず
夜更けまで泣きつ笑いつ観しドラマ朝餉進まずプールも行けず
〈史上初高き気温〉の報道よ柚子湯に漬かり温暖化憂う
三か月に一度の町内清掃よ雑草逞しうわさも逞し
友の在る感謝の歌よ〔マイ・ウエイ〕シャンソン歌手の熱唱(うた)に涙す
サスペンス観つつうたた寝気が付けばだれが犯人?モヤモヤ残る
お手頃のバーガー・ショップもお喋りと笑い加わり〈三ツ星〉となる
65歳女二人のひな祭り役目ほぼ終え穏やかな現在(いま)
寒き朝雨音聞きつぼんやりす歯医者の予約キャンセルしよう
水割りを湯割りに変えし寒き夜シャブシャブの湯気窓に転がる
秋夜長古今和歌集繙きつ文明の利器無き頃想像(おも)
コンサート終えて見上げる茜空 釣瓶落としに心せかさる
トップレスで日光浴せしパリジェンヌ娘と仰天ニースの浜辺
カレンダーめくると向日葵あふれ出し辺り一面八月になる
薫風をエサに太りぬ鯉三つ青空に跳ね仲睦まじき
障子越しのやさしい日差しに包まれてうつらとろりと夢見のなかへ
酷暑の日々孫誕生に駆け回る友の背中にエールを送る

▲上へ戻る