目次

2023年9月1日更新(88号)

梅雨をききつつ   馬宮 敏江

高だかと泰山木は花を掲げ樹下に学生の群れを抱きて
マンションの窓に吹かれいし鯉三尾それぞれ旅立つ男孫三人
今日もまたエラーひとつを引きずりて夕焼け空に心開かぬ
擬宝珠(ぎぼうしゅ)のうす紫の一枝(ひとえ)挿し花を語ろう梅雨をききつつ
注連(しめ)を張り老いの祈りの早苗田に五月の雲を映して揺れる

▲上へ戻る